林檎とフクロウ

故きを温ねて新しきを知る――哲学や宗教学などの人文科学を読み解き、生きる道を見出すことを目的としたブログです。

仏教における地獄を調べてみた

お盆と言えば地獄の蓋が開く日でもあります。

 

地獄と言えば六道の最下位であり、五悪趣の1つでもあります。

普段はあまり意識のしたくない世界ですが、せっかく地獄の蓋が開いたのですから、たまには覗いてみたいと思います。

 

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仏教における地獄と裁判

日本の仏教では死後、人間は三途の川を渡り、7日ごとに閻魔をはじめとする十王の7回の裁きを受け、最終的に最も罪の重い者は地獄に堕とされるとされます。

 

仏教における地獄と官僚制度

地獄は閻魔大王を頂点とする官僚制度とされています。

これは、元々は閻魔大王、牛頭、馬頭などの古代インドの民間信仰である死後の世界の思想が、中国に伝播して道教などと混交して、仏教伝来の際に日本に伝えられたと考えられています。

 

仏教における地獄と種類

地獄の最下層には無間地獄があり、その上に大焦熱・焦熱・大叫喚・叫喚・衆合・黒縄・等活の7つの地獄が重層しています。

これらを総称して八大地獄と言います。

これらの地獄にはそれぞれ性質があり、そこにいる衆生の寿命もまた異なるとされます。

八大地獄の四面には4門があり、門外に各4つの小地獄があります。これを合して十六遊増地獄と言います。

八熱地獄と合せば百三十六地獄となります。

また八熱地獄の横に八寒地獄があるとされています。

 

仏教における地獄と等活地獄

別名、想地獄。

いたずらに生き物の命を断つ者がこの地獄に堕ち、ケラ・アリ・蚊・蝱(アブ)の小虫を殺した者も、懺悔しなければ必ずこの地獄に堕ちると説かれています。

生前争いが好きだった者や、反乱で死んだ者もここに落ちると言われています。

この中の衆人たちは互いに害心を抱き、自らの身に備わった鉄の爪や刀剣などで殺し合うと言います。そうでない者も、獄卒に身体を切り裂かれ、粉砕され、死ぬが、涼風が吹いて、また獄卒の「活きよ、活きよ」の声で等しく元の身体に生き返る、という責め苦が繰り返されます。故に、等活と言います。

他の地獄同様、周囲には十六小地獄があります。

屎泥処

対象は鳥や鹿を殺した者

屎とは糞、大便のことで、ここでは沸騰した銅と糞尿が沼のようにたまっており、亡者達はその中で苦い屎を食わされ、金剛の嘴を持つ虫に体を食い破られます。

刀輪処

対象は刀を使って殺生をした者

10由旬の鉄の壁に囲まれており、地上からは猛火、天井から熱鉄の雨が亡者を襲います(1由旬は約11.3kmから14.5km前後)。

また、樹木から刀の生えた刀林処があり、両刃の剣が雨のように降り注ぎます。

瓮熟処

対象は動物達を殺して食べた者

獄卒が罪人を鉄の瓮(かめ)に入れて煮ます。

多苦処

対象は人を縄で縛ったり、杖で打ったり、断崖絶壁から突き落としたり、子供を恐れさせたり、拷問で人々に大きな苦痛を与えた者

その名の通り多い苦しみ、十千億種類の苦しみが用意されており、生前の悪行に応じた形で苦しめます。

闇冥処

対象は羊や亀を殺した者

その名の通り真っ暗闇で、闇火や熱風で罪人を苦しめます

不喜処

対象は法螺貝を吹くなど、大きな音を立てて驚かせたうえで、鳥獣を殺害した者

昼夜を問わず火炎が燃え盛り、熱炎の嘴の鳥、犬、狐に肉や骨の髄まで食われます

極苦処

対象は生前にちょっとした事で腹を立ててすぐに怒り、暴れ回り、物を壊し、勝手気ままに殺生をした者

あらゆる場所で常に鉄火に焼かれ、獄卒に生き返らされて断崖絶壁に突き落とされます

衆病処

名前のみで内容は不明。

両鉄処

名前のみで内容は不明。

悪杖処

名前のみで内容は不明。

黒色鼠狼処

名前のみで内容は不明。

異異回転処

名前のみで内容は不明。

苦逼処

名前のみで内容は不明。

鉢頭麻鬢処

名前のみで内容は不明。

陂池処

名前のみで内容は不明。

空中受苦処

名前のみで内容は不明。

鉄窟地獄

正法念処経」には表れないものの「観仏三昧海経」に伝わっている小地獄です。

詳細は不明。

 

最後に

いかがだったでしょうか?

等活地獄は殺生に纏わる罪を犯した罪人を裁く場所ですが、内容によって送られる部署は異なります。

罰も部署によって異なり、多苦処に至っては十千億種類の苦しみを与えられると言うではありませんか。

これを知っていれば殺傷なんて出来ませんね。