林檎とフクロウ

故きを温ねて新しきを知る――哲学や宗教学などの人文科学を読み解き、生きる道を見出すことを目的としたブログです。

バラモン教について調べてみた

釈迦は悟る前、バラモン教の苦行信仰に影響を受け、苦行を行いました。その結果は周知の通りですが・・・さて、バラモン教とは一体何なのでしょうか?

今回はそんあバラモン教を見ていきましょう。

 

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バラモン教と概要

後期ヴェーダ時代(紀元前1000年頃〜紀元前600年頃)にバラモン司祭者のもとでヴェーダの神々を崇拝した宗教

バラモン教とはバラモンが司祭し指導したためヨーロッパ人が便宜的につけた名称です。

文献によっては古代のヒンドゥー教とも解釈されています。

 

バラモン教聖典

神々への賛歌『ヴェーダ聖典とし、天・地・太陽・風・火などの自然神を崇拝し、司祭階級が行う祭式を中心とします。

儀式ごとにその崇拝の対象となる神を最高神の位置に置くので最高神を定めておらず、多神教です。

 

バラモン教と輪廻転生

バラモン教では、人間がこの世で行った行為(業・カルマ)が原因となって、次の世の生まれ変わりの運命(輪廻)が決まるとされています。

あらゆる生き物は六道(地獄道、餓鬼道、畜生道修羅道、人間道、天上道に生まれ変わり、死に変わって、転生し輪廻するのです。

故に、人々は悲惨な状態に生まれ変わる事に不安を抱き、無限に続く輪廻の運命から抜け出す解脱の道を求めました。

 

バラモン教カースト

バラモン教ではヒンドゥー教と同じく、階級制度であるカーストを持ちます。

司祭階級バラモンが最上位で、クシャトリヤ(戦士・王族階級)ヴァイシャ(庶民階級)シュードラ(奴隷階級)と続きます。

これらのカーストに収まらない人々はそれ以下の階級パンチャマ(不可触賤民)とされました。

カーストの移動は不可能で、異なるカースト間の結婚はできません。

 

バラモン教と歴史

新しい思想と宗教

紀元前5世紀頃に、次々と新しい思想や宗教が生まれました。その理由として、経済力が発展しカースト最高位のバラモン以外の階級が豊かになってきた事などが考えらます。

カースト、特にバラモンの特殊性を否定した新しい思想は、特にバラモンの支配をよく思っていなかったクシャトリヤに支持され発展しました。

 

バラモン教ヒンドゥー教

先述したように、バラモン教は古代のヒンドゥー教とも解釈されます。

と言うのも、バラモン教にインドの各種の民族宗教民間信仰が加えられて、徐々に様々な人の手によって再構成されたのが現在のヒンドゥー教であるからです。

しかし、差異も見受けられます。たとえばバラモン教においては、中心となる神はインドラ、ヴァルナ、アグニなどであったが、ヒンドゥー教においては、バラモン教では脇役的な役割しかしていなかったヴィシュヌやシヴァが重要な神となりました。

 

バラモン教と他の宗教

仏教

仏教は、バラモン教の習慣、言語習慣を用いて教えを説きました。

ジャイナ教

ジャイナ教は、仏教と同時期にヴァルダマーナによって提唱された教えで、より徹底した不殺生を説きます。

なお、仏教、ヒンドゥー教ジャイナ教三者は成立以降、互いに影響し合って発展してきた経緯があります。

シーク教

シク教は、ヒンドゥー教イスラム教の宥和を目指して構築されたもので、両者の教義を取り入れています。

 

最後に

いかがだったでしょうか?

仏教はバラモン教の思想を汲みながらも、一部では否定して新しい教義を形成しました。バラモン教からの反発によって生まれたワケです。

実は元の宗教から反発して新しい宗教が生まれることは少なくありません。キリスト教も、元はユダヤ教宗教改革から生まれた宗教なのです。

キリスト教と仏教の共通点は多いと言いますが、発生の理由も似ていますね。