林檎とフクロウ

故きを温ねて新しきを知る――哲学や宗教学などの人文科学を読み解き、生きる道を見出すことを目的としたブログです。

道教について調べてみた

中国三大宗教の一角に鎮座する道教

世界の宗教について書かれた本ならば絶対に触れられる道教ですが、日本人にはあまり馴染みがありません。私もまったく知りませんでした。

なので、まとめてみました。

 

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道教と概要

道教は、中国三大宗教の一つで、漢民族の伝統的な宗教とされています。

中国の歴史記述において、他にも道家」「道家の教」「道門」「道宗」「老氏」「老氏の教」「老氏の学」「老教」「玄門」などとも呼称され、それぞれ若干ニュアンスの違いがあります。そのため「道教」の定義については、学者の間では論争が行われています。

 

 

道教と起源

源流は、春秋戦国時代諸子百家の一つである老子荘子道家の思老荘思想を中核として、それに原始的なアニミズムから始まる神仙思想、易および陰陽五行説讖緯説などが融合した宗教と言えます(アニミズムとは霊魂あるいは精霊に対する信仰のこと)。仏教の影響も受けていると言われています。

 

道教と道

中心概念の道(タオ)とは宇宙と人生の根源的な不滅の真理を指します(道の字は辶が終わりを、首が始まりを示し、道の字自体が太極にもある二元論的要素を表しています)

この道と一体となる修行のために錬丹術を用いて、不老不死の霊薬、丹を錬り、仙人となることを究極の理想とします。

 

道教と長寿

神仙となって長命を得ることは道を得る機会が増えることであり、奨励されます。

食生活においても何かを食することを禁ずる律はなく、さまざまな食物を得ることで均衡が取れ、長生きするとされます。

 

道教老荘思想

老子荘子の思想を合せた物です。

無為自然に代表されるように、「〜すべき」といった常識に囚われたものではなく、自然のリズムに合わせて無理せず生きることこそ最上であるという思想が特徴(無為自然とは、自然のまま、『あるがまま=天に従って生きる』という意味)。

 

 

道教黄老思想

黄老思想は戦国時代から漢代初期にかけて流行した道家の一学派の思想です。

黄帝を始祖とし老子を大成者としたことからこのように称されます。

君主が天道に背く君主の勝手な行動をとることを禁じ、また秩序維持のために社会に過度に干渉することは避け、さらに統治にかかるコストを下げるべきとする考えであり、漢代初期においては最も影響力をもった思想です。

 

道教老子

史記の記述によると、老子は紀元前6世紀の人物とされます。

道教は彼を始祖に置きますが、しかし、歴史家の評は様々で、彼は神話上の人物とする意見、複数の歴史上の人物を統合させたという説、在命時期を紀元前4世紀とし戦国時代の諸子百家と時期を同じくするという考えなど多様にあります。

 

道教と神仙思想

老子とは別に道教の源流の一つとなった神仙とは、東の海の遠くにある蓬莱山や西の果てにある崑崙山に棲み、飛翔や不老不死などの能力を持つ人にあらざる僊人(仙人)や羽人を指す伝説です。

方術や医学が発展すると、人でもある方法を積めば仙人になれるという考えが興りました。

 

道教三清

道教多神教宗教であり、様々な神々が祀られています。

その中でも元始天尊太上老君太上道君最高神格とされ「三清(さんせい)」と呼ばれています。

 

最後に

様々な宗教に影響を受けて成った道教

道教もまた、陰陽道修験道に影響を及ぼしたと言われています。

ひしめき合い、影響を及ぼしあう宗教の関係図は想像するだけで面白いですね。