霊魂について調べてみた
昨日は幽霊について調べました。
幽霊とは死して彷徨う霊のことです。
幽霊に関しては多くの宗教が知らんぷりをしますが、”霊魂”となると話は変わってきます。
見ていきましょう。
- 霊魂と概要
- 霊魂と古代エジプト
- 霊魂と古代ギリシャ哲学
- 霊魂と旧約聖書
- 霊魂とキリスト教
- 霊魂と錬金術
- 霊魂とヴェーダ
- 霊魂とウパニシャッド
- 霊魂と初期仏教
- 霊魂と日本仏教
- 霊魂と道教
- 霊魂と神道
- 最後に
霊魂と概要
霊魂は、体とは別に実体として存在すると考えられているものであったり、人間の生命や精神の源とされ非肉体的・人格的な存在とされるもののことです。
宗教や文化圏ごとに様々な理解の仕方があります。
霊魂と古代エジプト
古代エジプトでは、自然界のあらゆるものに霊が宿るとされ、霊にも人間と同様に感情や弱点、欠点があると考えられていました。
特に人間の霊魂には5つの要素からなると信じられていました。イブ(心臓)、シュト(影)、レン(名前)、バー(魂)、カー(精神)、アク(有効なもの)の五つです。
死後、肉体はミイラとして保存されました。同じように霊魂を構成する5要素を保持していれば”第二の誕生”として蘇ることが出来ると考えられていました。
そのため、死者のバーが無事冥界に渡り、将来死者が甦るようにと、ミイラ作成期間の70日ほどの間、祭司は何度も大量の呪文を唱えました。
このように、霊魂は不滅とされ、死者は復活するという信仰がありました。
霊魂と古代ギリシャ哲学
ギリシア語では魂はプシュケーといいます(語源は気息の音に由来)。
ソクラテスはプシュケーを知と徳の座だとし、「よく生きる」ことを”プシュケーの気遣い”として説きました。
その弟子のプラトンは、滅びる宿命の身体に属する感覚を超えた知を描き、知を特質とし自己を動かすプシュケーは不滅である、としました。
霊魂と旧約聖書
エゼキエル書18章4節には「罪を犯した魂は必ず死ぬ」と書いています。また、18章20節でも「罪を犯す魂は死ぬ。」という記載があります。
霊魂とキリスト教
コイネー・ギリシア語で記された新約聖書のプネウマ (πνευμα) は、聖霊、御霊とも訳されます。
新約聖書のプネウマは死を越えていく存在様式や生命力を指すこともあるが、それらの多くは人間的な意味です。
新約聖書ではつまり神の霊と人間の霊は別物と考えられています。
霊魂と錬金術
間を構成する要素は霊魂(アニマ、ANIMA)、精神(SPIRITV)及び肉体 (CORPVS) であり、錬金術ではこれらは三原質と結び付けられて考えられていました。
霊魂とヴェーダ
『リグ・ヴェーダ』などのヴェーダ聖典では、人間の肉体は死とともに滅しはするものの、人間の霊魂は不滅である、とされていました。
同聖典では、人間の死後に肉体を離れた霊魂は、火神アグニなどの翼に乗って、最高天ヤマの王国にたどり着き、そこで完全な身体を得る、とされました。
霊魂とウパニシャッド
サンスクリットで書かれたヴェーダの書物”ウパニシャッド”には、死者の魂は、解脱する人の場合は"神道"を通ってブラフマン(宇宙の根本原理あるいは宇宙の最高実在)に至り、善人の場合は祖道を通って地上に再生する、と説かれました。
霊魂と初期仏教
ブッダが説いた初期仏教での「無我」は「霊魂がない」と解する文献が多いです。
しかし、そうではではなく「非我」の訳語が示すように、「真実の我ではない」と解すべきもの(自他平等の境地を目指した思想)である、ともされています。
霊魂と日本仏教
先述したように、ブッダは「無我」を説いて霊魂を否定した、とされる文献が多いです。
しかし、死者が六道のいずれかに生まれ変わるまでの中陰と呼ばれる期間の立場を、民間信仰では霊魂と混同されることがあります。
霊魂と道教
中国の道教では、「魂」と「魄」という二つの異なる存在があると考えられていました。
魂は精神を支える気、魄は肉体を支える気を指しました。
魂と魄は易の思想と結びつき、魂は陽に属して天に帰し、魄は陰に属して地に帰すと考えられていました(陰陽思想)。
それから発展し、民間では、三魂七魄の数があるとされました。
三魂は天魂(死後、天に向かう)、地魂(死後、地に向かう)、人魂(死後、墓場に残る)であり、七魄は喜び、怒り、哀しみ、懼れ、愛、惡しみ、欲望から成ります。
霊魂と神道
古神道では、森羅万象にマナが宿るとされていました。マナとは神秘的な力の源と訳されます。
また神道には強い付着性・有利性を持つマナとして魂があり、荒御魂や和御魂という魂の様相があるとしました。
最後に
いかがだったでしょうか?
霊魂については、宗教学、民俗学、文化人類学などが様々な視点から頻繁に研究されています。また、掲げる教義や哲学の差により、各宗教でも霊魂の捉え方は違っています。
それだけスピリチュアルな存在である霊魂は、存在の有無も含めて、重要な役目を担っているということでしょう。
実は世界保健機関も霊魂の重要性について言及しています。それは、1999年の総会で、「健康の定義」に「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」という語を加える提案がなされたのです。
この”霊的”という部分は医療哲学や医療倫理では今尚議論されています。