林檎とフクロウ

故きを温ねて新しきを知る――哲学や宗教学などの人文科学を読み解き、生きる道を見出すことを目的としたブログです。

見えざるピンクのユニコーンについて調べてみた

巷では、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」と「見えざるピンクのユニコーン」をジョーク宗教の二大巨頭とされています。

というわけで、今回は「見えざるピンクのユニコーン」を見ていきたいと思います。

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見えざるピンクのユニコーンと概要

見えざるピンクのユニコーンは、有神論を風刺したパロディカルトにおける女神であり、「見えないのにピンク色」という逆説的なユニコーンの形をとっています。

その特徴は有神論の神性に関するいくつかの矛盾を皮肉っている点にあり、無神論者や他の宗教懐疑論者が使用する修辞的な例証として作られました。

 

見えざるピンクのユニコーンと誕生

見えざるピンクのユニコーンは1990年7月7日にUsenetのalt.atheismに投稿されたのがその始まりとされています。

その後、1994年から1995年にかけてISCA(電子掲示板)上で大学生グループによりさらに発展しました。

 

見えざるピンクのユニコーンと皮肉

見えざるピンクのユニコーンあらゆる点で有神論を皮肉っています

例えば、信者間で行われる「彼女は完全に見えないのか、ちょっとは見えるのか、もしかして(裸の王様のように)彼女を信じる者の目にのみ見えるのか」といった論争は、多くの宗教の論争好きな性質と込み入った神学上の議論を風刺しています。

また、「あらゆる有神論の“神”という言葉を“見えざるピンクのユニコーン”に置き換える」といったように超自然的存在に対する信仰を恣意的に揶揄するのに使うことが可能です。

 

見えざるピンクのユニコーンと教義

見えざるピンクのユニコーンはISCAのメンバーや信者によって様々な教義が付け加えられました。以下はその一部です。

  • 洗濯室は見えざるピンクのユニコーンの神殿である。
  • 靴下に穴が開いていたら、それは彼女がその角をもって穴を開けたことを示している。
  • 洗濯物がピンク色に染まったら、それこそが彼女がピンク色であることの証である(洗濯機の中に選ばれし雄馬を従えて彼女が降臨し、愛を交わしたことの残光)。
  • 靴下が片方無くなったとしたら、あなたは特別に祝福された存在である。
  • 彼女が靴下を持ち去ってどうするのかは、誰にも分からない。人知を超えた事象である。
  • 見えざるピンクのユニコーンはパイナップルとハムのピザに目がない。
  • 紫の牡蠣という敵対者がいる。

 

最後に

見えざるピンクのユニコーンは「聖書に書かれている」「聖者がそう伝える」「肌で感じた」などと言いながらも神について存在が証明出来ないでいる有神論者に対する風刺・皮肉により生まれたとも言えます。

ただ批判するわけではなく、ユーモアを以て戦う点は空飛ぶスパゲッティ・モンスターに通ずるものがあります。

私もそんなユーモアが欲しいものです。